第10章 連続爆破事件
「敦、肩を貸してやれ」
「はいっ。太宰さん、掴まってください」
「済まないねぇ……」
……。
どうして此処に居る?
「太宰、お前どうして此処が……」
んー?と云うと何時もの……国木田をからかう顔に変わる太宰。
「廃病院なんて国木田君が恐がると思って」
「誰が怖がるか!」
「えー?以前は堪えきれずに懐中電灯を出していたではないかー」
「ばっ…!あれは足元も全く見えなかったから仕方なくだな!」
何時も通りのやり取り。
敦は安心した顔をして二人を見ていた。
コツッ
「「「!」」」
何かの足音に気付き歩む足を止める。
現れたのは――
「此処は通さねえぜ……」
体格のよい男が独り。
「見たことあるな……」
その男を見や否や国木田が呟く。
「ほら……何年前だったか、幼女ばかりを狙う強姦魔を捕まえたじゃないか。その彼にそっくりじゃない?」
「!」
太宰の言葉で、過去の記憶を引っ張り出し
確かに。
国木田も同意する。
「ってことは……」
「身体能力を上げる異能力者だよ……確か」
「!」
3人は相手を見る。
「覚えていてくれて嬉しいよ…俺は……お前等さえ居なければ……」
ポケットからガムを取り出し、口に加える。
「敦、気を付けろ!奴は『ガムを噛んでいる間、手足の身体能力を上げる異能力者』だ!」
ドゴオッ!
「っ!」
国木田が敦に伝えると男が廊下の壁を叩きつける。
綺麗に空いた穴。
「国木田君……」
太宰がコッソリ耳打ちする。
国木田が目を伏せ、何かを考え……
「判った」
小さく頷いた。
「敦君、食い止めるよ」
「!……はい!」
太宰と敦が動く。
「ウオーッ!」
男のパンチが地面を抉った。
「っ!」
その隙に国木田が奥へと走り去っていく。
男がそれに気付き、追い掛けようとしたところを敦が攻撃する。
「チィッ!」
男が敦の攻撃を交わし、仕掛ける。
そして一旦間合いを取る
「まあいい。お前さえ足留め出来ればそれで」
太宰を見て云った。
そして激しい攻防は何分続いたのだろうか。
「敦……く……」
地面に叩き付けられて動かない敦と
「人の心配をしてる場合じゃねーだろ、色男」
「ぐっ……!」
片手で首を締め上げられている太宰。
状況は最悪だった―――。