第10章 連続爆破事件
『全く君達は僕がいない間に何やってたの?北は北海道、南は九州まで全国を此れでもかってほど移動させられて大して面白くもない事件を解決してきたって云うのに君達は何一つ片付けてないじゃないか』
「申し訳ありません。尽力を尽くしたものの矢張り、乱歩さんがいない此の状況で我々だけでは手も足も出ずに……」
『いやー!君達は僕がいないと本当に役立たずだねっ!』
「返す言葉もありません」
国木田が見えもしない相手に向かって頭を下げる。
『○○市××病院跡地』
「え?」
『ナオミちゃんの居場所だよ。後、一連の爆弾魔達の現在地』
「!」
爆弾魔の寄越した暗号を机に置きっぱなしにしてきたことを思い出す。
流石、乱歩さん!
乱歩が述べた場所を素早くメモする。
『10個の爆弾の位置は直接谷崎に……』
「うわー!乱歩さん!今社内には盗聴器…」
『君達が社の入り口にしてた貼り紙を見て5秒で見付けたよ。賢治くんが「わー。これなんですかねー?あ、壊しちゃいました!」なんて云いながら3つ凡て壊したよ』
「………。」
5秒。
此の差は一体何処から生まれるのだろうか……。
『じゃっ!爆弾の位置は谷崎に直接電話しておくから頑張ってねー』
「はい!有難うございます!」
そう云って電話を切ると
「××病院跡地だ!急ぐぞ!」
「はいっ!」
二人は直ぐに車に乗り込んだ。
―――
「此処か」
病院の前に着くと、直ぐに車を降りる。
時刻は既に日没を過ぎていた。
辺りが暗く、静まり返る――。
「成程な。此処の反対岸が石油化学コンビーナートというわけか」
辺りを見渡して此の場所を指定した理由に納得する。
病院の入り口に敦と二人で歩んでいく。
「……ん?」
国木田が何かに気付き、警戒した。
「人か……?」
人と思わしき影が1つ。
病院の入り口で佇んでいる。
国木田の言葉に敦が目を凝らす
「あ……」
「あ?……っておい!」
敦が何かに気付き、その人影に歩み寄って行った。
国木田もそれに続く。
「太宰さん!」
「!」
その人物がゆっくりと顔を捻る。
「国木田君、敦君」
ニッコリ笑って答えるも
その顔に何時もの元気は、無かった。
「お前、工合が……」
「ああ……まだ一寸ね……正直、動くのもやっとだ」
はははと笑う太宰。