第10章 連続爆破事件
『もしもし?』
「太宰、今どこだ!?」
『港だけど?』
「良かった!」
『え?』
国木田は安堵の息を着き、手紙の事を話始める。
太宰の云った通り、ナオミが誘拐されていたことも。
『…成る程ね』
太宰が相槌を打つ。
「ところで『良かった』と先程は勢いで云ってしまったが何で港なんかにいる?」
『いやー海に誘われてね。矢張り生命の母と呼ばれるだけあって壮大…』
「巫山戯るな!」
ちぇっ。ジョークじゃないかあとぼやく太宰。
『爆弾について判ったのだよ』
「何?」
太宰の言葉にピクリと眉を動かす。
密輸人から聞き出したのか――
『爆弾は1つの端末で10個までなら同時に操作できる型らしい』
「時限制ではないのか」
『厄介なことにね。その端末さえ在れば何時でも離れた位置で爆破出来る…詰まり、犯人の手紙に書いてあることは嘘じゃない』
「………」
『正確に0時に爆発したいと言っているならもしかすると端末をタイマーに繋いでいる可能性は有るけどね』
「云われるがまま指定された場所に行った方が良いか」
『そうだね……国木田君達、今外だろう?』
「え?……ああ、そうだが」
『恐らく事務所には盗聴器が仕掛けられている筈だ』
「!?」
盗聴器だと!?
いや、しかしそれならば10回目の爆破のタイミングの良さに説明が付く。
『先ずは万が一の為に谷崎君の『細雪』で爆弾の位置を把握しに行くんだ。その間に国木田君と敦くんは盗聴器を探しながら暗号を解読してくれ給え』
「判った!」
『私は……済まない。もう限界の様…だ…。悪いが少し休んでくるよ……』
「は?おい、太宰っ!?」
プチッ……ツーツーツー……
一方的に切られた電話。
慌てて掛け直すが繋がらなかった。
「太宰さん、大丈夫なんですか!?」
「……判らん……が、アイツの事だ。そう易々と死んだりはせん。取り敢えず、いま出来ることをするぞ」
「「はいっ!」」