第10章 連続爆破事件
電話越しにも分かる谷崎の動揺振り。
「落ち着け、谷崎。取り敢えず社で合流しよう」
『わ……分かりました。』
電話を切る。
「国木田君、申し訳無いが私は走れない。先に行ってくれ給え。探し回るのも正直厳しいから爆弾の方を確認してくる」
「判った。また連絡する」
そういうと国木田は社のある方向へ走り出した。
その姿が見えなくなるまで見送ると
「どの辺から見れば安全かな」
ふぅと息を吐きながは呟くと太宰は大通りから姿を消した。
―――
「太宰さん、目を覚ましたんですね!」
社の階段前。
丁度出勤してきていた敦に会う。
「ああ。次に爆弾が仕掛けられる場所も推測できた。後は犯人を取り押さえるだけ」
ダダダッ……
「谷崎!」
ハアハアと息が上がっている。
先に戻ってきていたようだが国木田達の姿を捉え、タイミングよく降りてきたようだ。
手には1つの封筒が握られている。
「コレッ……社のドアに挟まってて……」
「何!?」
慌てて中身を確認する国木田。
「………。」
書かれている場所を内容を確認する。
『大事な姫君を頂いた。返してほしければ指定された場所に参られよ』
「!?」
谷崎の顔が歪む。
「場所って何処ですか!?」
「落ち着け、谷崎!」
『尚、本日日付が変わる瞬間が終焉の時。先に爆弾を見付け処理した場合、その瞬間に爆破させるため悪しからず』
その下に記載された住所は「千葉県」。
それ以下は暗号じみていて解らなかった。
「ナオミッ!」
今にも駆け出さんばかりの谷崎の首根っこを掴む国木田。
「谷崎、落ち着け。逸る気持ちも判るが冷静さを失えば判断を誤る。助かるものも助けられん」
「!」
国木田の言葉でピタリと止まる。
「すンません……」
そしてハッとする国木田。
「拙い!太宰が一足先に現場に行くと云っていた!犯人に気付かれたら……!」
「「!」」
慌てて電話を取り出し、掛けた。