第10章 連続爆破事件
ゆっくり歩く国木田。
矢張り本調子ではない太宰を気遣っている。
「済まないねぇ。走れそうに無くて」
「仕方無い。気にするな」
そう言うと昨日の出来事を説明し始める。
「フム……。」
太宰は顎を当てて考える。
「手紙では「10」とあったが実際の爆発が起こったのは8時45分頃だ。」
「時間じゃなくて場所なんじゃない?」
「は?」
「ペンと地図ある?」
用意周到なのか、手帳からこの界隈の地図が出てくる。
「最初の爆発は○○公園の公衆トイレ……」
呟きながら地図に丸を、その丸の中に何回目の爆発だったかの数字を書き込んでいく太宰。
「……これはっ……」
その完成を見て国木田が驚きの声を上げる。
書き込まれた丸は綺麗に円に成っていたのだ。
そして回数を重ねる毎に規模が大きくなっている。
「それを踏まえて考えるなら11番目はヘリ……」
「うわー!横浜のヘリポートが爆発したってよ!」
「未だ捕まんないの!?怖いんだけどー」
「「!?」」
携帯電話を見ながらすれ違う女子高生の話を聞いて絶句する。
「……遅かった………のか」
「……。」
太宰は地図を見る。
『時ガ始点カラ終点ニ戻ル時、世界ハ浄化ノ炎ニヨリ始点ニ戻ル』
「国木田君、最終目的地は此処だ……」
「!」
太宰が指さした場所は石油化学コンビーナート
「此処が爆発すれば焼け野原じゃ済まない!」
国木田が走り出そうとする。
「そういえば今日はナオミちゃん来なかったね」
「は?何だ、いきなり」
「看護師さんに聞いたのだよ。登校前に寄って様子を見に来てくれていたって」
「お前が先に失踪したりするからだろうが」
「でも鉢合わせしてもおかしくないでしょ?」
太宰が云う。
「……。」
そして思い出す。
谷崎に太宰が見付かった事を伝えるのを忘れていたと
電話を取り出して電話帳から谷崎を呼び出す
ピリリリリッ
『はいっ。此方は未だ見つかりません』
「谷崎、太宰は見付かった。」
『本当ですか!?』
息切れをしているのが判る。ずっと探して居たようだ。
すまん、谷崎
心の中で謝罪する国木田。
「ところでお前の妹は今日も太宰に会いに行っていたのか?」
『え?あ、はい。通学前に……』
「太宰が会ってないって云うんだが」
『えぇ!?』