第1章 クラスメイトの千石くん
「希望書いちゃってくださーい」
黒板に書かれた競技はいろいろ。参加したい競技の横に名前を書いてもらって、人数がオーバーしたらじゃんけん。
大体の参加者が決まる。バドミントンはまだ余裕がある。余っちゃってるのは…クラス対抗の二人三脚か。
普段グループからあぶれてしまう子と私が出ることになるかな…?
あれ?人数、足りてる。
「じゃあ、クラス対抗二人三脚は俺とちゃんだね」
千石くんが黒板に名前を書き足す。
「決まったね。先生、今日もう終わりで良いんでしょ?」
「ああ、早く決まったから良いだろ。よくやったな」
「やったー!ラッキー」
ラッキーなんて、謙遜だ。千石くんがみんなをまとめてくれたから、あっと言う間に担当競技が決まった。
清掃班のクラスメイトが清掃を始める中、教壇で黒板の担当競技を紙に書き込んで行く。
「二人三脚、よろしくね」
「あ、うん」
どうしよう、二人三脚って、肩組んだりするよね?そんな、密着したりして、私の心臓は持つんだろうか。
視線を感じて顔を上げると、千石くんと目が合った。
「あ、ど、どうしたの?」
「個人競技のバドミントン、人数余裕あるよね?」
「うん、シングルス、出ようかな」
「いや、ダブルスにしよ」
「えっ」
「いや?」
「嫌じゃないけど、私とダブルス組むの?」
「うん、楽しそうじゃん」
いたずらっ子な目で千石くんが笑う」
「良いんだけど、私バド部だから、ハンデ付けられちゃうよ?」
「うん、でもそれはシングルスも一緒でしょ?」
「まぁね…」
「じゃあ決まり!クラス対抗の二人三脚ともどもよろしくね」
「う、うん」
ああ、またどもった。