第4章 好き
今日の今日告白しちゃって、OKもらったのに、オトウサン、過激ですね。
でもこれはこれで、ラッキー?
「もう、信じらんない!」
顔を真っ赤にして怒るさん。今日から俺の彼女。
しかも、いきなり親御さん公認。
やりとりが可笑しくて笑っていたけど、お言葉に甘えて彼女の部屋に向かった。
ふわりとせっけんの匂いがする。
「どうぞ、せまいけど」
トレイを中央の小さなちゃぶ台に乗せ、さんが笑う。
こんなに柔らかい笑い方するんだから、もっとみんなに教えてあげたい。
でも、俺だけのものにしていたい。
可愛らしい座布団にあぐらをかいて、部屋を見回した。
「ごめんね、散らかってて」
さんは転がるぬいぐるみを拾い上げ、背伸びをしてカーテンレールの上に並べて行く。
犬や猫、可愛らしいぬいぐるみ達を抱える姿はまるで小学生の女の子の様だ。
後ろからそっと腕をまわして抱きしめた。
「せっ、千石くん!?」
少し裏返った声が耳に届いたけど、肩に顔を埋めてみた。
心臓の音が早くなる。
背中越しでも解ってしまうだろうか。
「ちゃん…」
「うん…」
上ずった声に俺のが反応する。
「せっせん、ごくくん!?」
「うん」
「あの、ちょっと、えっと」
腰に当たる俺のが気になるんだろう。
俺も気になる。
「ねぇ、名前で呼んでも良いかな」
わざと甘えた声を出す。
「え?う、うん」
顔が見えないのを良いことに、抱きしめた腕をそっと緩め、やわらかな膨らみに触れた。
「んっ」
「ちゃん」
「せ…「清澄って、呼ばない?」
「呼び捨て…」
「うん」
「うーん」
呼び捨てにするのはハードルが高いらしい。
胸に触れた手はそのままなのに、ちゃんは名前に気を取られている。
「きぃ、ちゃん」
「へ?」
予想外の返事に腕を緩めると、回した腕にちゃんが触れた。
「きぃちゃんっていうのは?呼び捨ては、呼びにくいから、あだ名、から…」
腕に頬を寄せられ、胸をぎゅっと掴まれるような痛みが走る。
「なにそれ、ちょー可愛い」
さらに強く抱きしめる。
これ、我慢しなくても良いのかな。
「きゃ」
短い悲鳴を聞かない振りして、お姫様抱っこをした。