第5章 本丸
溌剌とした声「おお・・・なんと言う精錬された撫で方技術!
これは・・・とても心地よいですぞ!」
四季「おー・・・きみ、喋れるんだ?」
キツネ「はい、喋れますとも!
わたくし、そこで見ている鳴狐(なきぎつね)のお供のキツネと申します」
鳴狐「・・・・・・・・・、・・・」
キツネ「大丈夫ですぞ鳴狐。
此度の審神者はどうやらとてもお優しい心をお持ちの様で、わたくし危うく間の抜けた声を出しそうになったほど・・・。主さま、鼻柱もお願いします!」
四季「はいはーい。
・・・えーと、私は君らに酷い事をするつもりはこれっぽっちも無いよ。って言っても、いきなり現れてすぐ信用してって言うのはムシのいい話だよねー・・・」
肩に乗りっ放しのキツネのリクエスト通りに鼻柱を軽く指で撫でてあげながら、空いている左手で膝上に居る虎達の身体を撫でてあげた。
そりゃ昨日今日来た、ここの本丸に居る刀剣男士達に「審神者です、これからよろしく!」とか言っても警戒されたりするのは当たり前だよね・・・。
鳴狐「・・・・・・信じて、いいの・・・?」
四季「私は、君らに何かを強要したりはしないよ」
白髪の少年「・・・っ・・・本当、ですか?」
四季「うん、本当。
だから、君らが私に近づかれたくないなら近づかないし・・・キツネくんやこのちび虎くん達に触って欲しくないなら、遠慮なく言って?
私はこの本丸に、君たちが平和で自由に暮らせる居場所にする為に来たんだから」
ここに来る前から、ずっと思ってた。
政府からは「黒に堕ちた本丸」としか聞かされていなかった。
詳細は一切教えてもらえず。
教えてもらえないってよりも、政府の方でも「御神木のある土地に発生した本丸」「神力が強い邪気を孕んでいる」「審神者を配属させようにも刀剣男士の神力が強すぎる為難しい」「恐らくは審神者から何らかの仕打ちを受けて闇堕ちした刀剣男士が集まっている」と言う事しか把握していないんだとか。
刀剣男士だって人間と同じく生きてるのにそう言う事をする理由が理解出来なかった。
だから、最初にそれを聞いた時。
もし私がその本丸に配属されたなら彼らには平和で自由な生活をさせてあげたい、って思った。