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ただ、自由に【刀剣乱舞】

第5章 本丸


元々この本丸には主なんて居なかった。

緑の葉が生い茂る、野生動物達が自然と棲みついていた土地。
御神木の強く宿していた回帰の神力に惹かれて、刀剣男士としての身体やその精神・・・心がボロボロの俺達はこの本丸へと無意識にたどり着いていた。

回復とか浄化を司る神力の中でも回帰の神力は、そんな俺達のたったひとつの拠り所だった。
でも御神木は、人間への憎悪を抱える俺達の神力に充てられてか次第に老朽化していった。


そして見るも無残な・・・。
・・・いや、違うか。
俺達の心を映したような本丸の姿になってしまった。



その本丸を、この女が変えてしまった。
勝手に現れて。
勝手に住み始めて。
・・・勝手に、俺達の傷を癒して。




鶴丸「なんで、こんな女に・・・」




今の所、俺達に危害を加えようとはしていない。
住み始めたばかりだからまだなんとも言えないが、少なくともこの女は・・・俺の主になった奴らみたいに刀剣男士達を道具としか思っている訳ではなさそうだ。

もし道具としか見ていないのなら、霊力に任せて服従させてくる。


・・・くそっ。
深く考えれば考えるほど、この女の思考が読めない。




鶴丸「・・・・・・審神者にとって、俺達は戦う為に呼び出しただけの物。・・・なのに、なんで・・・」




本当に、解らない。

さっきだってそうだ。

どうせ女審神者なんて、目合い目的で近づいたに違いない。
だから、そう思ってこの女が口の端につけた米粒を取ってやったんだ。手じゃなくて口で。


普通なら、頬を染める。
普通なら、驚く。
普通なら、声を上げる。

はず、なのに。

そんな反応なんて欠片もせずに、俺の行動に即座に反応して斬りかかろうとした小狐丸を静止した。


自分で言うのもあれだが、顔は整ってる方だと自覚はしている。
女って顔が良ければ寄ってくるし、好感を持たれたくて何かしらの理由をつけては媚びてくるもんだろ。

それなのに・・・。




鶴丸「・・・ムカつく。
なに、俺がこの女に・・・男として見られてないって事かよ・・・」




異性であれば、絶対に反応すると思ったのに。

無反応ってどうなんだ。


俺の気持ちなんて露知らず、ぐーすか寝る女に無性に腹が立った。
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