第5章 本丸
俺にそう伝え終わる前に、審神者はその場にぽてりと転がった。
その拍子に俺の依代が審神者の手から離れて畳の上に落ちた。
鶴丸「・・・出会ってろくに親しくもなってない男を目の前にして、よく無防備に眠れるな」
刀身を鞘に納めてから腰に戻した。
そして無防備に寝息を立てる審神者に目を向ける。
・・・霊力を使ったのは本当らしい。その証拠に、さっきまで審神者から感じ取れていた霊力が少し浪費されている。
俺の身体も、驚くほどに回復している。
その霊力が行きつく先が、この本丸のあちこちに居る刀剣達だとしたら納得がいく。
さっきまで感じ取れなかった刀剣達の神力が、ぽつぽつと感じ取れる。・・・破壊されていたやつらを霊力だけで、なおかつ触れずに回復させるなんて・・・どんな手入れだよ。
まあ、その浪費しちまった霊力を補う為に眠ったんだろうけど。
俺達刀剣男士達も、そう言う神力を浪費した時は寝て回復するに限る。
ああちなみに、霊力と神力には明確な差は無い。
人間が使えるか付喪神が使えるか、それだけの違いだ。
鶴丸「・・・・・・どこまでわざとなんだよ。
さっさと人間らしく俺らを道具としか思ってない事、白状すればいいのに」
近づいてしゃがんで、起きる気配も無い審神者を見下ろす。
・・・・・・なんで、こんな女に。
あいつらは仲良くなってんだよ。