第5章 本丸
やむこと無く脳内に直接響いてくる聲。
それは聞くに耐えないテレビの砂嵐みたいな雑音・・・楽器と言う楽器が掻き鳴らされているような、そんなBGM。
不協和音にも似た聲が、私の霊力に干渉しようと脳内で延々と叫ぶ。
これが、全部・・・。
全部、刀剣男士達が破壊されたり・・・自分で破壊する道を選んだ時の声にならない声なんだ。
四季「・・・、・・・ッッ・・・」
昨日は直接私が聲と向き合ってた訳じゃなかったからまだマシだった。
でも今回ばかりは違う。
手入れは審神者と刀剣が一対一で行うのが基本。普通なら、打ち粉とか丁子油とか・・・拭い紙とかを使って丁寧に細かい部分まで見るのが手入れ。
そっちの手入れも出来るけど、私の場合は霊力を使っての手入れの方がやりやすい。
・・・その分、今みたいに聲が聞こえる相手が複数居れば居るほど聲ひとつひとつと向き合わなければいけない訳で。
・・・よし、両手が光らなくなった。
四季「・・・っ・・・ふぅー・・・・・・。
・・・・・・うん、もう大丈夫みたいだね。
身体の調子、どう?」
鶴丸「俺はこの通り、すっかり治ったけど・・・。
そう言う・・・キミは大丈夫なのか?」
四季「んー・・・まあ、さすがに全然平気っては言えないかな。
・・・あのさ・・・ひとつお願いしていいかな」
鶴丸「?
聞くだけ聞くけど・・・なんだ?」
四季「私、霊力を一度に使い過ぎると時間とか場所とか関係無く寝ちゃう体質でさ。
だから・・・もし邪魔だったら、審神者の部屋にでも運んどい・・・て・・・・・・」
そう言い終わる前に、私の意識はフェードアウトしていった。