第5章 本丸
鶴丸の部屋へと到着し、私は早速まだ出会っていない刀剣男士達の手入れをする為に準備を始めた。
四季「って言っても依代に触れてれば後は霊力を込めて集中力を高めるだけなんだけどねー」
鶴丸「・・・誰に言ってるんだ?」
四季「気にしない気にしない。
えーと、鶴丸の依代ってこれだよね?」
鶴丸「ああ。
・・・でも、資源も持ってないのにどうやって手入れするんだ?
それもこの本丸に居る刀剣男士達全振りって・・・」
四季「まあまあ、あれこれ言うよりやった方が早いって。
・・・そんじゃ、ちょっと借りるね」
中庭に生えている御神木の方にある窓襖(まどふすま)を開けてそっちの方を向いて座った。
鶴丸から貸してもらった依代を鞘から抜けば、なんとなく違和感を覚えた。
四季「・・・鎺(はばき)にほんの少し隙間出来てるね。それにかなり細かいけど刃こぼれとか錆(さび)も出来始めてる・・・もしかしてさ、鶴丸の前任って丁子油(ちょうじあぶら)みたいな油もろくに使わないで手入れしてたの?」
日本刀の部位について事細かに単語を出して聞いたのが意外だったのか、鶴丸はキョトンとした。
ちなみに鎺って言うのは、刀身が鞘から抜け落ちない為の部分。持つところの柄の上にある鍔(つば)の、その上に刀身を覆うようにしてる部分。