第5章 本丸
小狐丸「・・・・・・」
鶴丸「ふあ〜ぁ・・・っと。
・・・あれ、何してんだ?小狐丸」
審神者・・・基(もとい)ぬしさまの部屋を後にし、私は厨(ちゅう)にて朝餉を作っていた。
そこへ鶴丸が訪れる。
大きな欠伸(あくび)をしているところを見ると、起床したばかりのようですね。
小狐丸「おや、鶴丸。
私は見ての通り、厨で朝餉を作っています」
鶴丸「朝餉、ね。
あんたが自炊するとは珍しい事もあるんだな」
小狐丸「ええ、まあ。
他ではないぬしさまからの頼まれ事ですので」
紅鮭を白米で包みながらそう答えれば、鶴丸は私の言葉に反応した。
鶴丸「・・・ぬしさまぁ?
は、あんた・・・もしかしてもう手懐けられちゃったワケ?」
小狐丸「手懐けられる・・・まあ、見ようによってはそうでしょうね」
鶴丸「・・・・・・いくら何でも早すぎだろ・・・。
あのお嬢さんが来て一日だぜ、こりゃ驚きだな・・・」
おむすびを完成させ、それをぬしさまへ持っていくお盆へと乗せる。
ちなみにおむすびの他にはわかめと豆腐の味噌汁と目玉焼きを。・・・あまり料理が得手ではない私でも、ぬしさまとあれば頑張りますとも。
すると他の刀剣達にも、と作っておいたおむすびの一つに手が伸びてくる。
・・・まあ、ぬしさまの為に作ったものでは無いですからいいですが。
鶴丸「どれどれ・・・。
・・・・・・おっ、昆布か。うん、上手い!」
小狐丸「私はもう行きますが・・・もっと食べたければご自分でどうぞ」
人数分の朝餉を乗せたお盆を持ち、居間へと続く廊下へと歩き出した。