第5章 本丸
四季「え、なんか入ってるの?」
そこまで頭が回らなくて、思わず聞き返した。
すると小狐丸は何かを考えるように顎に手を当てて「ふむ・・・」と呟く。
小狐丸「ぬしさま。
この粥には痺れ薬を入れているのですが・・・入っているのが媚薬や毒だった場合はどうなさるおつもりだったのですか?」
四季「え。
あー・・・・・・それは、確かに困るね・・・」
小狐丸「ですから、今後はくれぐれもお気をつけなさいますよう申し上げます」
四季「んー・・・そうだね。
うん、気をつけるようにするよ」
小狐丸「素直でよろしい。
では、私はこの粥を処分して新たにおむすびでも・・・」
四季「あ」
小狐丸「?」
四季「どうせ食べるなら、みんなで揃っての方がいいんじゃないかな。朝餉」
小狐丸「皆で、ですか・・・。
・・・畏(かしこ)まりました。ではそのように致しましょう」
何故か渋々了承する小狐丸。
・・・え、なんで渋々?
小狐丸「それでは、私は失礼します」
四季「あ、ちょっと待って」
持って来たお粥と梅肉をまたお盆に乗せて、礼儀正しく部屋を後にしようとする小狐丸を呼び止めた。
小狐丸は「?」とお盆を持ったまま私の方を見てきた。