第5章 本丸
す・・・っ
四季「?」
変化の術を使って、第一印象が毛並みを触りたいと言った私にひとしきり笑って。
今度は何をするんだろう、と思っていれば赤目の青年が取った行動は意外なものだった。
改まって私に向き直り、片膝は低く立てたままで姿勢を整えた。
両手はそれぞれ両膝の上に乗せている。
・・・え?
小狐丸「・・・数々の失礼、お詫び申し上げます。
この小狐丸(こぎつねまる)を、貴女様の刀剣男士として仕えさせてはくれないでしょうか」
四季「・・・・・・えー・・・と?
それってつまり・・・」
小狐丸「私の、主となってくださいませ」
頭を下げて、目上の人に何かお願いをするように私にそう言ってきた。
思ってもみなかった展開に、私は頭の上に「!?」を浮かべた。
四季「あ、あるじ・・・。
いや、うん・・・主になるとかはさておき、取り敢えず顔を上げてよ。ね?」
小狐丸「いえいえ、この小狐丸・・・大事な主となる人へ働いてしまい、更には隙あらばその細い首を跳ねようと考えておりました」
四季「おいおいマジでか・・・」
小狐丸「はい。
ですので・・・これからは貴女様の御身をお護りさせてくださいませ」
四季「えー・・・。
それは、まあ嬉しいけど・・・」
一向に頭を上げようとしない小狐丸。
確かにかなり嬉しい申し出ではあるんだけど・・・。