第5章 本丸
千代金丸「なーに言ってるんさァ?
近侍にしてる俺にそんな事聞くなんて、寝惚けてるんじゃないか?」
四季「寝惚けてる、ねえ。
ふーん、あくまで千代に成り切ってるんだ?」
千代金丸「・・・姫?
成り切ってるとか、なに訳の解らない事言ってるんさ」
四季「一応正解発表しとくね。
第一に、千代は部屋に入って来る時はあんな丁寧に襖とか戸を開けたりしないよ。今みたいに礼儀正しい座り方とかもしないし。
第二に、時の政府への定期報告する時期は予め(あらかじめ)決まってる。
・・・第三に、千代は自分のことを俺なんて言わない。あいつの一人称は、自分」
千代金丸「・・・・・・・・・」
スラスラと指摘していく。
いつもの千代なら「姫、起きろー」とか言いながら入って来るしね。寝てる事前提に。まったく失礼な奴だ。まあ、寝てるのは事実なんだけど。
四季「そもそも、千代はこんな時間帯に早起きしないしよっぽどの事じゃないと起きない。
いつも寝起きに持って来るのも柔らかめの白米おむすびで具はシャケだよ」
寝起きでこんだけ喋らされるとは・・・。
よく噛まずに言えるな、私。
言いたい事を言い終えて、私は目の前に居る千代のそっくりさんに「もう一回聞くよ。きみ、誰?」と質問した。