第4章 結界
御神木がこれだけ近くにあるんだ。
少なくとも、私を近づけないようにしていた彼らよりも近くに。
だったら、あとは風景を定着させるだけ。
春でも夏でも、秋でも冬でも。
とにかく、どんな風景でも。
鶴丸「・・・・・・っな・・・!?」
三日月「・・・これ、は・・・・・・」
呆気に取られてるような、驚いているような声を上げる刀剣男士二人。
千代に至っては「おー」としか呟いてないように聞こえる。・・・もう少し感動しなよ。
まあ、それはそうだろう。
ついさっきまで荒れ放題壊れ放題だった本丸の姿がまるっきり変わってしまったんだから。
「いててて・・・っ」とゆっくり上半身を起こせば、私の視界には緑の草むらがそこかしこにあった。
その中にはオレンジやピンクの小さな花なんかも咲いている。
そして、何より。
ものの見事な満開の桜の樹となった御神木を見上げる。
四季「・・・やっぱり、か」
鶴丸「・・・・・・?」
四季「この本丸に前任の審神者が居ない理由、この土地にあったんだね。
この御神木から感じる神気は・・・」
〝回帰〟。
心身ともに傷つき果てた付喪神である刀剣男士達にとって、この〝回帰〟の神気を色濃く宿す御神木があるこの土地は唯一寄り添える居場所みたいなもの。
だからその神気に引き寄せられるように、壊れてしまった依代がこの土地へやって来たんだ。