第4章 結界
形式上では二対二。
でも、状態で言えば私と千代の方が不利なのは明らかだ。
三日月は私が放った霊力を上手く相殺でもしたらしく、マーカーは少し黄色い。白髪の青年に至ってはそんなにダメージを負ってないみたいだ。
向こうはいつでも攻撃出来るように、既に抜刀してる。
隣に寄らないのは、私達が二手に別れて逃げる時に備えてるんだろう。
・・・前方には敵対視されてる刀剣男士二人。距離は・・・ざっと十メートルくらいかな。
私達は互いに手負い。でも近い距離に居る。
目的の御神木は、後ろ。距離は・・・・・・。
四季「ねえ、千代」
千代金丸「・・・ん?」
四季「援護よ・・・ろ、ッ!!」
ヴンッ・・・
三日月「やはり狙いは御神木、か。・・・鶴丸(つるまる)」
鶴丸「はいはい、人遣いの荒いじーさんだ事・・・」
タタ・・・ッ
迷うよりやる。
下手にごちゃごちゃ計算するより行動。
私は千代に一言言ってから、霊力を両脚に込めてそのまま御神木があるであろう方向に向かって駆けた。
それを見ていた三日月が鶴丸と呼ばれた白髪の青年に声をかけ、その鶴丸が私の方に向かって走り出した。
一方の三日月はと言うと、私の方に向かって来る鶴丸を止めようとした千代の足止めをしているようだ。またキィンッ!とか聞こえる。千代がんば。
・・・チャンスはこれっきり。
いい加減に頭痛が定着しそうだ。
心なしか耳鳴りも始まりそう。
暗い色に染まってしまっている御神木まで、あと二メートル。