第4章 結界
ざくっ
ドンッ・・・!
四季「い゙・・・っ、・・・ッは・・・・・・!!?」
劈く(つんざく)ような声を向けられたと思ったら、風が切られるような音が聞こえて。
かと思えば瞬きをした次の瞬間には左肩を強い力で押されて、とどめに今度は背中に鈍痛。
あまりの鈍い痛みに、肺にあったはずの酸素が二酸化炭素となって私の口から抜け出た。
悲鳴を上げる暇なんて無くて、そこにあったのはなんでもないただの痛みだけ。
四季「・・・・・・っぁ゙。・・・ぅ・・・げほっ、はあっ・・・!!」
あったはずの酸素が無くなった事で、私の身体は全神経を働かせて呼吸を始めた。
急に酸素を取り入れようとしたものだから、逆に噎せて(むせて)しまう。
そんな息苦しそうに必死に呼吸をする私を温度の無い目で見下ろす黒髪の青年。
黒髪の青年「・・・喋りが過ぎたな。人間。
その脆弱(ぜいじゃく)な鼓動を繰り返す心の臓・・・止めてやろう」
ゆらりと私の左肩から引き抜かれた、彼の刀は錯覚じゃなければ赫(あか)く塗られていた。
あー、私はついさっき刀で左肩をやられたのか。
そっかそっか。
そんでもってそのまま何かに背中を叩きつけられたのか。
そっか。
・・・でも、違うよ青年。
私は確かに人間だけど、一回死んだ人間なんだ。
死を経験した人間はね、そう簡単には・・・殺されやしないんだよ。