第4章 結界
足場が無いよりはマシ、とは言ったけれども。
気を抜いたら転びそうだ。そしてそのまま転げ落ち・・・なんて御免だ。
不慣れな足場に悪戦苦闘しながらも、中庭っぽい場所が見渡せる所まで来れた。
キンキンと千代が頑張ってくれてるであろう音はBGMだ。うん。
さて。
ここまで誰かとばったり鉢合わせする事なく目的地の御神木に近づいた訳だけど。
四季「(御神木、あれだよね。神気もあれから感じるし。・・・でも・・・)
枯れかけてる・・・」
ヤバい。
蝋燭(ろうそく)に例えるなら残ってる蝋はあと3センチ。
砂時計に例えるなら今にも砂が落ちきっちゃう。
ここから手を伸ばして霊術を使うか・・・?
いや、もし外したり誰かに弾かれたら霊力の無駄遣いだ。
・・・悩んでてもしょうがない。時間の無駄だ。
誰かに見つからないようにしながら近付いて、直接御神木に触れるしかない。
四季「・・・・・・ぁ」
・・・・・やっ・・・ちゃった・・・。
音を立てないように降りようとして、屋根の縁に両手をついてそーっと下の縁側に顔を出した。
するとなんと言う事だろうか。
そこには先客が居たのだ。
しかもしっかり帯刀までしているじゃないか。
うん、ここは取り敢えず一旦顔を引っ込めよう。
ちっちゃく「ぁ」って発音しちゃったけど、きっと気づいてない。・・・はず。
って思ってたのに、その人は私の目をしっかりと捉えていた。