第4章 結界
姫・・・四季からのでこパン。
ハッキリ言ってあれは痛い。
木とか土とかの壁にうっかり頭をぶつけた時の衝撃並に痛い。
付喪神だろうと人間だろうと、痛いものは痛い。
正直なところ、もう食らうのは御免だ。
千代金丸「(・・・にしても、此処は本当に刀剣男士達が居住してんのか・・・?
いくらなんでも荒廃し過ぎな気がするさァ)」
前にでこパンされた時の痛みを思い出しかけて、今はそれよりも姫に言われた御神木とやらを探す事に集中した。
御神木って言うくらいだから、本丸の中じゃなくて縁側の外にあるんだろう。
中庭とかがあるならそっちにある可能性も無きにしも在らずだが・・・。
それにしても、この本丸は酷い。
辛うじて本丸としての原型は留めてはいるものの・・・廃城って言った方がしっくりくる。
瓦屋根は見るも無残な剥がれ方をしているし、等間隔に並ぶ柱は・・・火事でもあったのか煤けて(すすけて)いる。
障子や襖も、半壊していたり和紙が千切れていたり倒れていたりと酷い有り様。
本当に酷い箇所は壁だ。
・・・この本丸の中で屋内戦があったんじゃないかと思うくらいに、所々に亀裂が入っていたりボロボロだ。
千代金丸「(漂ってる霊力も霊力さァ。
・・・霊力だけじゃなく神気も混濁してて、自分でも正直胸焼けがする・・・)」
その場の勢いと四季の指令で二手に別れたものの、あっちは一人で大丈夫か・・・?
そう心配しながら縁側の角を曲がれば、不意に気配を感じた。