第4章 結界
聞いていた話だと、私が着任する事となったこの本丸はどう言う訳かその前任が居ないそうだ。
──・・・ザワ
四季「・・・・・・・・・?」
──・・・ガリ、ガ・・・
四季「・・・っ・・・、ッ・・・」
千代金丸「・・・?
どうした、姫」
四季「・・・ぁー・・・。
これは・・・よっぽど、かな・・・」
こんのすけ「ひめさま・・・?」
四季「・・・前任が居ない、ってそう言う意味ね」
千代金丸「もしかして、聴こえたば?」
久方振りに聴こえたそれに、私は思わず顔を顰めた(しかめた)。
時の政府で極稀(ごくまれ)に、〝音〟が聴こえる事があった。それはどうやら私にしか聴こえないようで。
その原因のひとつと言うのが、付喪神である刀剣男士の依代・刀剣が破壊された時だ。
刀剣の破壊は、その刀剣を依代としている刀剣男士の消滅を意味している。
望兄に寄れば、「恐らく、その破壊された刀剣の精神の悲鳴だ。消滅する時に無意識で発せられる神気(じんき)が、他より異質な四季の霊力に反応しているのだろう。声と成っていない声・・・言うなれば、聲(こえ)だ」との事。
とどのつまり、消えたくないって言う想い。
それが私には聴こえる。