第11章 葛藤
血が入ったビンを確認していると、フェリドくんはワイングラスを用意し始めた。
フェリド
「君も飲む?」
クローリー
「いや、僕はいい」
僕の視線を感じ、もう1つグラスを取り出そうとしたフェリドくん。
彼には悪いが、断った。
今は乾いていないし、アリスが部屋で待っているから。
クローリー
「部屋で待たせてるし、もう行くよ」
フェリド
「あ、クローリーくん」
クローリー
「なに?」
部屋を出ようとしたら止められた。
彼の方へ向き直ると、いつにも増して真剣な表情をするフェリドくんが目に入る。
フェリド
「もしアリスちゃんが血を飲むのを嫌がったら……」
クローリー
「…ああ、その手があったか」
やはり飲まなかった場合の事をフェリドくんはちゃんと考えていた。
声に出さずにジェスチャーで伝えてきたのはその方法がイレギュラーだからだろう。
それにこの方法なら多分あの子も飲む。
いや、これ以外に飲める方法がない。
クローリー
「これも嫌がったらフェリドくんが何とかしてよ」
念の為どうしても飲まない時はフェリドくんに任せる事を告げて、今度こそ部屋から出た。