第11章 葛藤
フェリドくんはわざわざ瀕死のアリスを持ち帰り吸血鬼にした。
だから簡単に殺しはしない。
クローリー
「お、いた」
そんな事を考えながら探していると、ようやく彼の後ろ姿を見つけた。
クローリー
「フェリドくん」
フェリド
「ん?」
その背中に呼びかけるといつもの笑顔を浮かべたフェリドくんが振り返る。
だが僕の周りを見ると不思議そうな顔に変わった。
フェリド
「あれ、アリスちゃんは?」
クローリー
「部屋にいるよ」
フェリド
「そっか、ならいいや」
この反応からするとアリスもいた方が良かったのかもしれない。
クローリー
「アリスも連れてきた方が良かった?」
フェリド
「いいや、部屋にいるならいいよ。それに君がここにいるって事は何か僕に用があるんだろ?」
クローリー
「ああ、アリスに血を飲ませないといけないからどうするのかと思ってね」
それを聞いて僕の用件を理解したようで、頷くと歩き出した。
多分血を保管している所へ向かっているのだろう。
そう思い、僕はフェリドくんについて行った。
*****
フェリド
「はい、これ飲ませてね」
クローリー
「はいはい」
受け取った血はフェリドくんが大好きな子供の血。