第11章 葛藤
クローリー
「ああ、見すぎちゃったか」
私の反応を見て、ごめんと謝りながらクローリーは立ち上がった。
そしてドアの方へと歩いて行く。
「どこに行くの?」
クローリー
「君が飲む血をフェリドくんに貰ってくる。そこで大人しく待っててよ」
そう言い残してクローリーは出て行ってしまった。
地下都市の子供達から集めた血。
それが私に飲めるだろうか。
「…っ」
想像するだけで涙が出そうになった。
だが血を飲まないと私は死ぬ。
「………」
決心を固められない私は、現実から目を背ける様に目を閉じた。
*****
(クローリーside)
部屋を出る時に見たアリスは不安げな表情をしていた。
そんなアリスを置いて、どこかへ行ってしまったフェリドくんを探して屋敷を歩き回る。
クローリー
「あの様子じゃ飲めないだろうな」
アリスはまだ子供。
同族だった人間の血を飲むのはとても辛く、厳しいはずだ。
だが飲ませなくてはいけない。
血を拒み続けたら吸血鬼は鬼になってしまう。
もしそうなったら僕はあの子を殺さなくてはいけない。
せっかく気に入った子だ。
殺すのは惜しい。
クローリー
「まあフェリドくんが何とかすると思うけど…」