第11章 葛藤
これからこの部屋に住むのかと思うとため息がこぼれた。
だがクローリーにはその反応も想定内だった様で、苦笑される。
クローリー
「まあ、とりあえず自己紹介でもしようか」
「うん」
向かい合うソファーに座り、彼の顔を真正面から見つめる。
改めて見るとかなり整った顔立ちだ。
クローリー
「僕はクローリー・ユースフォード、フェリドくんに吸血鬼にされたって事で第十三位始祖を名乗っている」
本当は違うけど、と笑う彼。
「私は小鳥遊 アリス、クローリーさんこれからよろしく」
クローリー
「クローリーでいいよ」
吸血鬼はプライドが高く傲慢なイメージだったが、クローリーは違う。
この吸血鬼とならとりあえず生きていけそうだ。
クローリー
「ところでアリス、君は喉渇かないの?」
「………」
クローリー
「血が足りなくなると大変だから正直に言うんだ」
「…ちょっと」
気さくだった雰囲気が、今では真剣さを帯びている。
本当は渇いていないと言いたいが、意識をすると僅かに渇きを感じてしまっていた。
クローリー
「僕の時は喉が渇いてどうしようもなかったのに個体差でもあるのかな…」
私の答えを聞いて考え込むクローリー。
観察するように見られ、気まずくなり視線を逸らす。