第11章 葛藤
そう言い、フェリドは私の顔を覗き込んだ。
私の目に生気が戻ったのを確認したのか、満足気に笑うと私から離れていく。
フェリド
「じゃあ後は任せたよ」
そしてクローリーに手を振ると、踵を返して部屋を出て行った。
取り残された私とクローリー。
彼の方を見ると、手を差し出してきた。
クローリー
「僕達も行こうか」
「…うん!」
慌ててその手を握る。
暖かさが全く無い大きな掌。
今まで繋いできたミカ達とは違う感触に驚きながら、私はクローリーに着いて行った。
*****
クローリー
「お疲れ様、目的地はここだよ」
「はぁ…はぁ…」
屋敷は想像以上の豪邸。
人間の頃から体力が無かったのと、先程までずっと寝ていた私は息が切れてしまっていた。
そんな私の様子を確認しつつ開かれた扉。
「……!?」
室内を見た私は驚いて思わず固まってしまった。
私を驚かせたのは、部屋中に揃うメルヘンな家具。
「…何これ」
クローリー
「フェリドくんに女の子が好きそうな家具を揃えてって頼まれたけど、僕じゃ分からないから部下に任せたんだよ」
その部下というのは恐らく日本人では無いはずだ。
この部屋に似合うのはどう考えても外国の女の子。
私も女の子だからメルヘンな部屋に憧れない訳では無いが、少し居心地が悪い。
「…はぁ」