第11章 葛藤
これで話が1つ終わった。
フェリドが簡潔に言ってくれたら早いのだが、こればかりは仕方ない。
「じゃあ次、ミカは生きてるの?」
フェリド
「死んでは無いよ。アリスちゃんと同じ」
「!」
私と同じ、それは彼も吸血鬼になってしまったと言う事だろう。
「じゃあミカもここに居るの…?」
あまり接点がない私を吸血鬼にして連れてきたという事は、お気に入りだったミカも連れてきているに違いない。
そう思い、期待に満ちた目でフェリドを見る。
フェリド
「いいや。残念だけどミカくんを保護したのは僕じゃないんだ」
だが、その期待は裏切られた。
フェリド首を振りながら少しだけ、本当に少しだけ申し訳なさそうにしている。
「そっか…」
フェリド
「アリスちゃん」
隠しきれない程がっかりする私を見て、フェリドは私の肩を叩いた。
フェリド
「君が吸血鬼としてちゃんと生きていけばいつか会えるよ」
「ほんと…?」
恐る恐る聞くと、フェリドは頷く。
これは嘘をついているようでも誤魔化しているようでもない。
ならば私は生きなくてはいけない。
吸血鬼になって孤独を感じているであろうミカの為に。
フェリド
「さてと、とりあえず話す事はこれくらいかな」