第11章 葛藤
クローリー
「…フェリドくんは自分の呪いをわけるような趣味の悪い事はしたくないらしい」
「それが理由?」
クローリー
「僕にはそう言ってたよ」
それだけの為にわざわざ自分より強い吸血鬼の血を飲ませるだろうか。
自分と同等の実力を与えても困るのは自分だ。
普通自分より弱い吸血鬼の血を飲ませるべきと彼なら容易に分かるだろう。
だから彼の真意は別にある。
そう思った時、フェリドはこちらを見て笑った。
フェリド
「アリスちゃんの考え通り、それだけじゃないよ」
自分の心を読まれたようで気味が悪い。
多分この吸血鬼は人の行動や、心理を考える能力がたけているのだろう。
フェリド
「ちなみにこの事は僕達だけの秘密。バレたら僕達3人、仲良く永遠に幽閉されて拷問を受けることになるからね」
「え、なんで…」
クローリー
「人間を吸血鬼にする事は貴族のみが許されている権利だが、あくまでそれは自身の血でという事。フェリドくんみたいに他人の血を飲ませるのは本当にダメな事なんだ」
クローリーは私でも分かるように丁寧に教えてくれた。
その説明を聞くとフェリドの行動はやはりおかしい。