第11章 葛藤
悪びれもせずに言う為、怒るどころか気が抜けてしまう。
この場にクローリーがいなかったらこの事実はいつ知る事になったのだろうか。
恐ろしすぎて想像もしたくない。
「違うなら早く言って…」
クローリー
「フェリドくんはこれが通常運転だから慣れるしかないよ」
困った笑みを浮かべながら言うクローリー。
この人も散々な目にあったんだろうと苦笑が浮かんでしまう。
「じゃあ誰の血なの?」
そう聞きながらクローリーの方を見ると、彼は首を振った。
つまりフェリドでもクローリーでもない誰かの血。
あの時いた貴族はフェリドだけ。
その後来たのは下級吸血鬼ばかりだった。
「貴族じゃない吸血鬼…?」
フェリド
「まさか。第二位始祖だよ」
「え、偉い人…だよね?」
他に可能性がある最悪のパターンを恐る恐る聞くと、フェリドはあっさりと否定する。
それもただの否定ではなく、信じられない事実と共に。
フェリド
「2番目に偉い吸血鬼だよ」
クローリー
「ちなみに僕もそのバケモノの血を無理矢理飲まされた被害者だ」
「そうなんだ…」
クローリーはある意味自分の仲間だと思い、彼に対して心の中で同情した。
それと同時に疑問が浮かぶ。
「…どうして自分の血を飲ませないの?」