第11章 葛藤
だが、彼らが話し出した内容にその心配は無用だった事に気づく。
フェリド
「この子そこまで馬鹿じゃないって」
クローリー
「フェリドくん、この子はまだ子供だよ?気がついてて逃げなかったなんておかしいでしょ」
つまりフェリドはわざと鍵をかけなかった。
遊び感覚で私を試したのだろう。
「……性格悪い」
この距離なので聞こえるだろうが、言わずにはいれなかった。
フェリド
「それって僕の事?」
やはり聞こえたようで、フェリドが振り返る。
内心焦ったが聞かれてしまったものは仕方ない。
「ふん」
開き直った私は、思い切り顔を背けた。
クローリー
「………」
「…ん?」
フェリドから顔を背けた為私の視界に入ってきたのはもう1人の吸血鬼。
今まで黙って私の様子を見ていたクローリーだが、よく見ると肩が震えている。
もしかすると、自分が性格悪いと言われたとでも思ったのかもしれない。
こんな事で殺されてはたまらない。
「あの…」
説明をしようと声をかけるが、クローリーは口元を押さえて黙っている。
ここまで怒っているのならダメかもしれないと覚悟した時、クローリーが声を出した。
クローリー
「ふっ…」
「え…」
クローリー
「はははっ、もう我慢出来ないや」