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罪と罰【終わりのセラフ】

第11章 葛藤




そこまで考えた時、共に倒れていたミカの事が頭をよぎった。


「ミカ!!…っ!?」


状況を思い出し、思わず飛び起きる。
起き上がった瞬間、貧血のような目眩がして頭を抱え込んだ。

しばらく経っても目眩は止まらない。
だが自分の状況を確認する為に何とか周囲を見渡す。


「ここどこ…?」


私が寝ていたのは、今までの布団とは比べ物にならないフカフカのベッド。
部屋も豪華な家具でいっぱいだ。

周りには誰もいない。
更に重症だったはずの体には傷一つ付いていないのだ。
その事実に嫌な予感が襲う。


「こんな時だからこそ、冷静になれ」


自分に言い聞かせるように呟いて、状況を整理し始める。
まずこの世界でこんなに豪華な家に住めるのは誰か。
これは考えるまでもなく吸血鬼だろう。
それもただの吸血鬼ではなく、恐らく貴族。

そしてこの事が正しいのであれば、一刻も早くここから逃げなくてはいけない。


「…っ」


少しふらつくがなんとか歩ける。
急いで脱出しようと、ドアノブへ手をかけた。
だが、しっかりと鍵がかかっている。
それにこの部屋には窓がない。


「………」


これでは逃げる事は不可能。
どうしたものかと悩んだ時、この部屋へと向かう足音がした。


「!」


これは非常にまずい。
まだ何の対策も考えれてない。
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