第11章 葛藤
そう言い、私の目尻を親指で優しく拭ってくれる。
私は言われるまで泣いていた事にすら気が付かなかった。
久しぶりに感じた人の温もりに安心したからなのか、それともこの男の子の優しさに触れたからなのか。
何故かはわからなかったが、涙が溢れた。
金髪の子
「よしよし、もう大丈夫だよ」
男の子は私が更に泣き出したからか、少し困った顔をする。
ただあやす事に慣れているのか、落ち着かせるように優しく背中を摩ってくれた。
私は体の痛みなど忘れ、男の子にしがみつく。
金髪の子
「優ちゃん、この子仲間に入れていいよね?」
黒髪の子
「おう、チビ達も喜ぶだろ!」
金髪の子
「よかった。優ちゃんならオッケーしてくれると思ったよ!」
こんな簡単に彼らの仲間になっていいのだろうか。
2人の顔を不安げに見ると、心配そうな顔をする黒髪の子と目が合った。
黒髪の子
「ずっと泣いてるけど大丈夫か…?」
彼は泣きじゃくっている私を心配してくれていたのた。
金髪の子
「多分ずっと誰にも頼れないで1人で頑張ってきたんだ。だから今まで我慢していた感情が爆発しちゃったんだよ」
黒髪の子
「……そっか」
泣いていて喋れそうにないからだろう。
金髪の子が私の気持ちを代弁してくれた。