第11章 葛藤
黒髪の子
「…おい!」
「…?」
そんな私の背中に声をかけてきた。
黒髪の子
「ケガは大丈夫なのか?」
「…これくらいは大丈夫です」
本当は全く大丈夫では無い。
でもこれ以上彼らに迷惑をかける訳にはいかない。
金髪の子
「…そっか。じゃあ1人にしてさっきの3人組に会うといけないから僕達が仲間の元へ送るよ」
「………」
黒髪の子
「…どうかしたか?」
彼らが何故ここまで言ってくれるのか不思議に思い、思わず目を見開く。
私が驚いている事に黒髪の子は不思議そうな顔をした。
「…なんで?」
金髪の子
「…?」
「なんで…仲間でも何でもない私の為にそこまでしてくれるの?」
私を助けたって彼らには何もメリットが無い。
だから理由が全く分からなかった。
黒髪の子
「別に普通じゃねーか?」
「普通じゃないよ!!」
思わず声を荒らげてしまう。
「私の仲間だって私の事を置いて逃げていった!振り向きもしなかった!!ここはそんな世界なんだよ!?なんで…っ!!」
そして言葉をまくし立てたのだが、その先の言葉は彼によって奪われた。
金髪の子
「…辛かったね」
暖かいものに包まれる感覚。
私は金髪の子の腕の中にいた。
金髪の子
「もう1人で我慢しないで、泣いていいんだよ。これからは僕達が一緒にいてあげるから…」