第11章 葛藤
この言い方からすると、黒髪の子が誰かを助けようとするのはこれが初めてではないのだろう。
黒髪の子
「でもムカついたんだよ!それに俺達が助けなかったらあの子あのまま…」
金髪の子
「優ちゃん、それ以上言わないで」
私の方を気にしながら金髪の子は黒髪の子の話を遮った。
黒髪の子が言う通り、助けが来なかったら今頃私は彼らの性欲処理の道具にされていたはずだ。
それを考えると先程の恐怖が蘇って体の震えが止まらない。
黒髪の子
「…いてて」
「………」
黒髪の子
「…あ」
黒髪の子は痛そうにしながら座ると、私が震えている事に気づいた。
彼はばつが悪そうな顔をする。
黒髪の子
「…ごめん」
「…大丈夫です」
体の震えは止まらない。
でも彼に悪気が無い事は分かっている。
謝罪を受け入れると、黒髪の子は安心した表情を浮かべた。
金髪の子
「服、直せる?」
「あっ」
言われて自分の格好を見ると、下着が足に引っかかっている。
恥ずかしく思いながら脱がされかけた下着を上げて立ち上がった。
「…助けてくれてありがとう」
黒髪の子
「気にすんなよ」
金髪の子
「僕達の仲間にも君と同じくらいの女の子がいるんだ。その子も襲われる可能性があるから、それを防いだだけだよ」
そうだとしても普通は助けない。