第11章 葛藤
金髪の子
「僕にこんな事をして…君達ただで済むと思ってるのか?」
16歳の男2
「ああ?」
金髪の子
「僕は吸血鬼の貴族、フェリド・バートリー様のお気に入りだ。貴族の屋敷に出入りを許されている」
「!」
聞き間違いかと思ったが、確かにそう言った。
黒髪の子とは真逆の事をだ。
ミカ
「こんな事をして君達は吸血鬼に逆らうのか?」
追い打ちをかけるように言われたその言葉には男も蒼白となり、金髪の子から飛び退く。
16歳の男2
「も、もうつまんねぇよ!行こうぜ!」
16歳の男1
「え?…あ、ああ」
他の少年達は納得がいっていないようだったが、有無を言わせない男の様子を見て去っていった。
*****
男の姿が完全に見えなくなった事を確認すると、金髪の子は力尽きたかのように座り込んだ。
彼は大丈夫そうなのでもう1人、黒髪の子の方を見る。
「…!」
すると黒髪の子はうつ伏せで倒れていた。
まさか死んでしまったのか、そう思い息を呑む。
黒髪の子
「…全身痛てぇ」
でも声が聞こえてきたので安心した。
動きはしないが、とりあえずは生きているようだ。
金髪の子
「もう、勘弁してよ…」
黒髪の子
「へへ、ごめん」
金髪の子
「ごめんじゃすまないよ」
呆れた様子の金髪の子。