第10章 上位始祖の血
クローリー
「じゃあ僕は戻るよ、用は済んだろ?」
フェリド
「いーよ、アリスちゃんが起きたらよろしくね」
もう完璧に他人事のフェリドくんは僕に向かって笑顔で手を振った。
*****
(フェリドside)
クローリーくんが出ていった事を確認し、ヒラヒラと振っていた手を降ろす。
そしてクローリーくんの察しの良さに素直に感心した。
アリスちゃんに飲ませたのはクローリーくんが察した通り僕とクローリーくんと同じ血。
第二位始祖のリーグ・スタフォード、いや今は斉藤と名乗ってる人物の血だ。
表向きにクローリーくんは僕の血を飲んで吸血鬼になった十三位始祖という地位なのだが、実際は第二位始祖の血を飲んでいるから実力は僕と同じくらい。
だから僕とクローリーくんは同じ血で吸血鬼化した言わば兄弟。
そして新しくアリスちゃんが僕らの妹となったのだ。
ほとんど情報を与えていないのにここまでの事を自力で推理したクローリーくん。
やはり彼は頭が切れる。
フェリド
「ここまで順調だな〜」
規則正しい呼吸を続けるアリスちゃん。
彼女の傍の椅子に腰掛けて、頭の中を整理する。