第10章 上位始祖の血
その言い方で理解した。
フェリドくんはクルル・ツェぺシに喧嘩を売ってきたのだろう。
何がしたいのか僕には分からないが、この吸血鬼の事だから何か考えがあるはずだ。
クローリー
「フェリドくん、ちょっと質問」
フェリド
「ん?」
クローリー
「この子はここで世話するんだよね?」
僕に物を持ってきて欲しかっただけなら、今の今まで引き止めておく必要はない。
なのにフェリドくんは自分が帰ってくるまで屋敷で待機するように言った。
その事からフェリドくんは何かしら面倒臭い事を言うと推測できる。
だからこそ、言われる前に自分から質問をした。
フェリド
「そうだよ。アリスちゃんにはここで生活してもらう」
クローリー
「…あ、そう」
予想を裏切るフェリドくんの返答に、思わず気の抜けた返事をしてしまう。
てっきり僕に連れ帰らせて面倒を見させるつもりだと思っていた。
フェリド
「だからこれからよろしくね〜」
クローリー
「………」
彼の言っている意味がわからず、返事ができなかった。
フェリド
「アリスちゃんの相手、ちゃんとしてあげてよ」
クローリー
「…ん?」
フェリド
「ん?」
この吸血鬼はいったい何を言っているのだろうか。
見慣れた薄っぺらい笑みを今日程殴りたいと思った事はない。
先程は自分の屋敷で面倒を見ると言ったはず。