第10章 上位始祖の血
(クローリーside)
「いやぁぁ!!」
血を飲まされた少女の悲鳴を聞くと、昔の事を思い出す。
自分の身体が作り替えられるようなあの感覚。
かなり前の事だが、何となく思い出せる程あの痛みは強烈だった。
フェリド
「アリスちゃん、吸血鬼の世界へようこそ」
優しげなトーンで人間にとって残酷な事を言うと、少女の悲鳴は聞こえなくなる。
どうやら気絶したようだ。
クローリー
「フェリドくんその血…」
フェリド
「あ、説明がまだだった」
フェリドくんが少女から離れたのを確認して声をかけると、思い出したかのようにこちらを見る。
僕が聞きたかった事を察して答えてくれるのかと一瞬だけ思ったが、違った。
フェリド
「この子はアリスちゃん。今日から僕らの妹だよ」
クローリー
「………」
フェリドくんは僕の質問に答えるのでは無く、想像もできなかった事をあっさり言う。
予想外過ぎて反応出来なかったが、すぐその言葉の意味に気づいた。
クローリー
「じゃあ僕と同じ血って訳か」
フェリド
「うん、その事は分かってると思うけど…」
クローリー
「他言無用…だろ?」
フェリド
「そういう事。クルルは僕の血を飲ませたと思うだろうからね」