第10章 上位始祖の血
フェリド
「さてと…実はこんな無駄口たたいてる場合じゃないんだよ」
箱を開けると中身は予定通りの物。
それを見たクローリーくんは驚き、目を見張る。
クローリー
「…それ、誰の血だ?」
フェリド
「これは君も知っている吸血鬼のだよ。じゃあちょっと今から黙っててねー」
クローリー
「…!」
僕が何をするのか分かったのか、何かを言いたげな表情で黙るクローリーくん。
僕はその顔を横目で見て、荒い呼吸を繰り返しているアリスちゃんの口へと流し込んだ。
*****
(アリスside)
「っ!!!」
身体中を襲う痛みに意識が浮上した。
激しい動悸と比例するかのように痛みがどんどん増していくのを感じる。
「いやぁぁ!!」
痛くて熱い何とも言い表せないこの感覚は、体がバラバラになるのではないかと思う程だった。
痛みのあまり手を伸ばすと誰かが手を掴んでくれる。
「あ…!たすけ…て…」
必死に助けを乞うと、誰かが笑う気配。
そして穏やかな声が聞こえてきた。
?
「アリスちゃん、吸血鬼の世界へようこそ」
なんだかその声に聞き覚えがある。
だが痛みに耐えきれず、私は誰かを確認することが出来ないまま再び目を閉じた。