第26章 上位始祖との戦闘
これで第二位始祖の命が終わる。
意外と呆気ないものだった、そう思った時だった。
?
「助けて欲しいか?兄弟」
フェリド
「へ?」
人の気配がなかった路地裏に響いたのは男の声。
フェリド
「兄弟?兄弟が来ちゃいました?」
「兄弟って誰?」
クローリー
「いやいや、噓でしょ……」
聞いた事はありそうだが、声の主の顔が思い浮かばない。
でも2人には誰なのかわかっているようだ。
リーグ・スタフォード
「まいったな、あなたにだけは助けられたくなかったのですが……」
助けられたくなかった。
つまり仕方ないから助けてもらう事にしたという事になる。
クローリー
「ちょっとフェリドくん!」
この状況はかなりまずいのかもしれないと思っていると、いきなりお兄ちゃんがフェリドの拘束されている右腕を斬りつけた。
鎖が巻き付いたまま切り離された右腕。
「あぶな……!」
その腕に罪鍵が握られているので放置はできない。
だから地面に落ちたり、鎖で引き寄せられる前になんとか受け止める。
それを横目で確認したお兄ちゃんはすぐにフェリドに視線を戻した。
クローリー
「まずい雰囲気だ!!」
フェリド
「んー」
何か考えているのか、反応が鈍いフェリド。
?
「無様だぞ、リーグ」
「リーグ……か」
元ではあるが、第二位始祖の事をそう呼ぶ吸血鬼はかなり限られるはずだ。