第25章 4本の罪鍵
私の言葉の意味がわからなかったのか首を傾げるフェリドに補足をいれたお兄ちゃん。
フェリド
「ちょっと違うかな~?」
でも違ったらしい。
「じゃあ何?」
フェリド
「いや、まずかったから帝鬼軍の方の血を飲めばまだマシだったんじゃないかなって」
そんな事なら聞く必要はなかった。
ついそう思ってしまうが、聞いたのは私だ。
「どうせどっち飲んでも子供の血じゃないんだから同じ事言ってたと思うけど」
フェリド
「でも子供じゃなくても美味しかった人いたよ?ね、クローリーくん」
クローリー
「僕の事か」
満面の笑みで言われたお兄ちゃんはポツリと呟く。
その言葉に先程の話の続きなのだと察した。
フェリド
「そうだ、君は美味しかったんだよ」
昔を思い出すかのようにしみじみとフェリドは言う。
フェリド
「また飲みたいから人間に戻れよ」
クローリー
「無理言うなって」
「…………」
今のフェリドの発言でなんとなくだが、話が見えてきた。
お兄ちゃんが人間だったのは800年前。
その頃にフェリドは吸血鬼にする前のお兄ちゃんの血を飲んだのだろう。
フェリド
「今も美味しいのかな~?」
「……!」
ふざけているのかはわからないが、そう言いながらフェリドはお兄ちゃんの肩を掴んだ。
本当に今からお兄ちゃんの血を飲むつもりなのか。
クローリー
「やめろよ。今度は僕が飲むぞ」
その一言と同時に空気が凍る。