第25章 4本の罪鍵
クローリーの事をお兄ちゃんと呼ぶように。
フェリドだけでなく、お兄ちゃんの事も今ほど信用していなかった私にフェリドから初めて出た指令がそれだった。
でもその指令をだした張本人は覚えていないらしい。
別にフェリドの事だから驚きはしない。
フェリド
「じゃあ僕の事もパパって呼ぶように純粋だったかわいいアリスちゃんに言っておけばよかったな~」
「自分のミスだね」
クローリー
「まあ、あの時にパパって呼ぶように言ってもアリスが君の言う事に従ったかはわからないけどな」
多分その通りだと思う。
遊びで仲間を殺されたばかりだった当時、私はフェリドの事を恨んでいた。
そんな私が従った可能性の方が低いに決まっている。
だが全て過去の話なのでわざわざ今話す必要性はない事だ。
「あ」
そう思って視線を兵士がいた所に向けたのだが、そこにはもう誰もいない。
「さっきの兵士いないけど」
フェリド
「ありゃ、ほんとだ」
「追う?」
フェリド
「別にいいよ。彼じゃなくても餌ならそこら辺にいるでしょ」
フェリドがそう言うのなら、運よく餌にならずに済んだ彼を放っておいてあげるべきだろう。
でもフェリドが言ったはずなのに、なぜか微妙な顔をしているのが目に入った。
「何、その顔」
フェリド
「んー?」
クローリー
「まだ飲みたりないとかだろ?」