• テキストサイズ

罪と罰【終わりのセラフ】

第25章 4本の罪鍵




殺気ではないが、ゾクッとさせる何かがお兄ちゃんから感じとれた。


フェリド
「うわ、それも面白いね」


でもフェリドは全く動じていない。
それどころか、楽しそうに不敵な笑みを浮かべている。


フェリド
「なになに?僕に欲情した?」


しかも更にお兄ちゃんを煽り始めた。


フェリド
「じゃあ……」


そして言葉を止めて、自分自身の首を指差してお兄ちゃんへ笑いかけた。


フェリド
「飲めよ、殺す勢いで」

クローリー
「……っ」


お兄ちゃんが喉を鳴らす音が聞こえる。
どうやら本当にフェリドの血に欲情してしまったようだ。


「…………」


これで冗談では済まなくなったが、フェリドはどうするつもりなのか。


フェリド
「……いや、むしろ殺せ」

「え……」


そう思って様子を見ていると聞こえてきた呟き。
表情と声のトーンからふざけていない事はすぐにわかった。


「フェリド?」

フェリド
「……ん?」


私の呼びかけに反応したフェリドはもういつも通り笑っていた。
これを見れば先程までのは演技だと言われても普通は納得するだろう。


「………」


でも私はいつもの悪ふざけだとは思えなかった。
あんなフェリドを見た事がなかったからだ。


「……なんでもない」


フェリドは殺して欲しいのか。
自身を殺させる為に私達を吸血鬼にしたのか。

聞きたい事は色々ある。
だが、あんな顔を見てしまった私には疑問を飲み込む事しかできなかった。
/ 646ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp