第25章 4本の罪鍵
そう感じながらも、少し緊張しながらフェリドの言葉の続きを待つ。
フェリド
「今の聞いた?アリスちゃんが僕の事パパだって」
クローリー
「この距離だし聞こえてるよ」
私の心配とは違い、どこか楽し気な声で話し始めたフェリド。
フェリド
「パパか~」
クローリー
「ほら、こうなった」
しみじみと私の言葉を繰り返すフェリドと、お兄ちゃんの呆れた顔が目に入る。
これで私も理解した。
「何で喜んでるの」
フェリドは何故か喜んでいるのだ。
わざとお兄ちゃんと言った事をパパだと否定したのに、それのどこに喜ばせる要因があったのか全く理解ができない。
フェリド
「だって僕はアリスちゃんのパパであり、兄でもあるはずだろう?」
「そうだけど……」
フェリドは吸血鬼の立場的には私の父で、実際には同じ吸血鬼の血を飲んだ兄妹。
フェリド
「それなのにアリスちゃんはクローリーくんにだけお兄ちゃんと呼んで、僕には兄どころかパパとすら呼んでくれなかったじゃないか」
「いや、クローリーの事をお兄ちゃんって呼び始めたのはフェリドからの指示だったけど…」
フェリド
「…………」
フェリドは私の呟きに笑顔で固まる。
でもすぐにお兄ちゃんの方へと顔を向けた。
フェリド
「そうだっけ?」
クローリー
「そうだよ」
私が吸血鬼になって数日後だったと思う。