第25章 4本の罪鍵
「…………」
私の知らない2人の過去。
その話の詳細が気になり、視線を兵士からお兄ちゃん達にへと戻した。
フェリド
「あは」
「……何」
するとお兄ちゃんと話していたはずのフェリドの、こちらに向けられた笑顔が目に入る。
フェリド
「やっぱり大好きなお兄ちゃん達の昔話には興味あるだろうなって思ってたからね~」
「…………」
つまり自分の予想通りに私が動いたので満足しているのだ。
それについては予想できる行動をしてしまった私が悪いので何も言えない。
でも1つだけ絶対に訂正させてもらわなければいけない言葉がある。
「お兄ちゃん達って私の大好きなお兄ちゃんは1人だけど、パパ?」
クローリー
「……それは悪手だと思うよ」
「え?」
一瞬お兄ちゃんが言っている意味がわからなかった。
私は仕返しでフェリドをからかいたかっただけだ。
もしかするとフェリドに父親の話題を出す事がまずかったのだろうか。
そう色々考え込んでしまいそうになった時だった。
フェリド
「ねえ、クローリーくん」
私の発言から一言も話さなかったのに口を開いたフェリド。
その表情からは、いつも通り感情を読み取る事なんてできない。
クローリー
「何?」
でもお兄ちゃんは私と違って落ち着いていた。
私の動揺を知った上で平然と答えている。
もしかすると、フェリドは怒っている訳ではないのかもしれない。