第25章 4本の罪鍵
でもそれは無理のない事だ。
フェリドは先程、仲間だから助けたと言っていた。
なのに今の言葉は、目の前で死んだ百夜教の男のようにしてもいいと他の吸血鬼に許可を出したようにとれる。
クローリー
「仲間じゃないのかよ」
私と同じように思ったのだろう。
お兄ちゃんは苦笑交じりに兵士の気持ちを代弁している。
フェリド
「仲間を裏切って飲む血が1番うまいって事知らないの~?」
「それを常識のように語る奴がトップのフェリド派閥って普通に終わってるよね」
フェリド
「そうかなー?でもアリスちゃんもその終わってる派閥の1人なんだから自信持たないと」
いったいどんな自信を持てと言いたいのだろうか。
聞いても意味のある返事がこない事なんてわかっている。
それを承知の上で聞く事もあるが、今回は聞かなかった。
帝鬼軍の兵士
「……っ」
「…………」
フェリドに怯え、何とか後ずさって逃げようとしている兵士の姿が目に入ったからだ。
フェリド
「で?その終わってる派閥の1人であるクローリーくんなら僕の気持ちわかってくれるだろ?」
私の意識が別の事に向いている。
それを瞬時に察したフェリドだが、特に指摘したりはせずにお兄ちゃんに話しかけていた。
では私は遠慮なく彼の行動を観察させてもらう。
クローリー
「確かに君は僕の血もガバガバ飲んだしね」
フェリド
「あ~」