第25章 4本の罪鍵
フェリド
「ぷはーっ」
満足気に口を離したフェリドが男を掴んでいた手を開くと、百夜教の男は地面へ吸い込まれるように崩れ落ちる。
もう死んでしまったのだろう。
フェリド
「やっぱりまずいな~」
しかも死ぬまで飲んだのにも関わらず、この言われようだから同情する。
フェリド
「………」
吸いつくした後の人間に興味があるはずもないフェリドは、視線を自分の横へと移した。
帝鬼軍の兵士
「あ…」
フェリドと目が合ったのは、腰が抜けたように座り込んで一部始終を見ていた兵士。
帝鬼軍の兵士
「ありがとうございます…」
フェリド
「いやいや、僕らは仲間だからね。助けるのくらい当然だろ?」
理由は何であれ、フェリドのお陰で助かったのは事実だ。
だから恐怖でかすれる声で何とかお礼を言った兵士に対して、フェリドは心にもない返答で応じている。
フェリド
「で…」
兵士を指差し、言葉を止めたフェリド。
帝鬼軍の兵士
「?」
突然のフェリドの行動に兵士は不思議そうな顔をしている。
でもフェリドは兵士ではなく、お兄ちゃんの方に視線を向けているので彼の事は全く気にしていない。
フェリド
「クローリーくん、彼の血飲む?」
そして言われた言葉は、兵士にとって死刑宣告に等しいものだった。
帝鬼軍の兵士
「え!?」
まさかの言葉に、怯えていたのも忘れて大きな声をあげた兵士。