第25章 4本の罪鍵
フェリド
「とりあえず〜」
そう言いながら何故かこちらへと向かってくるフェリド。
「?」
何をするつもりなのかがわからず、笑いながら近づいてくるフェリドの次の反応を待っていた。
すると彼は私とお兄ちゃんの肩を軽く叩いて、その間を通り過ぎていく。
フェリド
「下に行こっか」
「…下?」
フェリド
「早くおいで〜」
私の疑問に答えたりはもちろんしない。
振り向きもせずに早く着いて来るように言ってくる。
「下って今…」
クローリー
「だろうね」
そう一言だけで答えたお兄ちゃんは、フェリドを追いかける為に歩き始めた。
下は今も戦闘中のはずだ。
そんな中に行くだなんてどうするつもりなのだろうか。
「………」
私もその後を追いながら考える。
先程フェリド自身が言っていた通り、一応仲間の帝鬼軍の人間達を助けに行くのか。
それとも優ちゃんやミカを探しに行くのか。
真祖が封じられたばかりのシノアの元へ行くという可能性もある。
クローリー
「アリス」
いくつもの可能性を考えていた私はその声に顔を上げた。
クローリー
「いくら考えたってフェリドくんの行動は君にはまだ先読みできないよ」
「………」
どうやら私はフェリドと違ってわかりやすいらしい。
こんなにも簡単に考えていた事を見抜かれるなんて、お兄ちゃんとはいえ少しだけ複雑だ。