第25章 4本の罪鍵
「あ」
そして真祖の反応が消えた事を感じとった。
クローリー
「消えた、か」
私とは違ってその一部始終を見ていたであろうお兄ちゃんがポツリと呟く。
「あの罪鍵があれば上位始祖でも殺せる?」
クローリー
「…かもしれないな」
罪鍵は天使の体から出てきた。
だから容易に手に入るものではないし、使い方も見えなかったのでわからない。
それでもあの真祖ですら罪鍵を使えば退ける事ができた。
この事実だけでとても大きな収穫と言えるだろう。
それにお兄ちゃんなら罪鍵の使い方を見れたかもしれない。
「お兄ちゃ…」
フェリド
「どうだったー?」
だから聞こうとしたのだが、いつの間にか降りてきたフェリドによって遮られてしまった。
クローリー
「どうだったって…」
フェリド
「素敵なショーだっただろう?真祖が封印される所なんて長年生きてても見れない光景だし」
「え?」
フェリド
「ん?」
いつものように話すフェリド。
そんなフェリドの話す内容に私が反応を見せると、フェリドとお兄ちゃんの視線が集まった。
「いや、封印って言ったから…」
フェリド
「そうだよー。真祖は死んでない」
クローリー
「まだあの子の中にいるって事か」
フェリド
「そうそう。封印したからしばらくは出てこれないけどね」
あの強大すぎる力がまだシノアの中にある。